外国人の多い地域とは?
近年、外国人の多い地域が増えているといわれています。
しかしひとくちに外国人といっても、日本社会との関わり方には濃淡があります。一回観光で来ただけの人もいれば、日本に定住したり、日本で生まれ育った人もいます。
今回注目したいのは、いま挙げたような、日本社会に定住する外国籍住民の地理的な分布です。ここでは、日本に定住を決めた人が取得することが多い、身分に基づく在留資格(身分系ビザ)を所持している外国籍住民を「定住者」と呼ぶことにします。
こうした人々が多い地域ほど、いわば日常生活のレベルで、多民族化が進んでいるといえるでしょう。
なお、在留資格とは、外国籍所持者が90日間以上日本に滞在する場合必要となる、いわゆるビザのことです(詳しくは外務省のページを参照)。その種類は数十にのぼりますが、大きく分けて、「特定技能」など職業に関係するもの(職業系ビザ)と、「永住者」など身分に関係するもの(身分系ビザ)があります。
身分系ビザは一度取得すると更新が不要の「永住者」をはじめ、日本に定住することを決めた外国籍住民が取得することが多いです。なお身分系ビザの一種に「定住者」というものがありますが、本稿では身分系ビザ所持者を総称して「定住者」と独自に呼ぶことにします。
定住する外国籍住民はどこにいるか?
では、どのような地域に定住者が多いのでしょうか。さっそく、都道府県別に人口指標を示した下の表をご覧いただきましょう。
外国人比率
まず外国人比率をみると、東京などの大都市に加えて関東や東海地方で高いことがわかります。対称的に、北海道・東北や九州での低さも目立ちます。
外国人人口に占める定住者比率
では、その都道府県における外国人人口のうち、定住者の割合はどの程度でしょうか。基本的な傾向は外国人比率とそれほど変わりませんが、東京・大阪の大都市が低めになっているのが目を引きます。職業系ビザ所持者の多さを示唆しているでしょう。また島根県の高さもやや意外の感があります。
さらに、身分系ビザのうち、在日コリアンのための在留資格である「特別永住者」を除いた割合も示しました。つまり、前項目とこの項目との差分が、特別永住者の割合であるともいえます。
前項目と比べると、特に関西地方で割合がかなり減っているのがわかります。すなわち、そうした地域には特別永住者が多いということです。他方、東海地方を筆頭に東日本では割合にそれほど変化がないことがわかります。
総人口に占める定住者比率
では最後に、都道府県の総人口に占める定住者の割合を算出してみましょう。東海地方、東京都・大阪府、群馬県あたりに多いのは、外国人比率とそれほど変わりません。
ただ、トップ5のうち、東京のみ外国人人口に占める定住者の割合が40%台とかなり低いですが、そもそも外国人人口の割合が高いために、定住者の割合も高くなっています。それ以外にトップ5に入っているのは外国人比率も外国人人口のなかでの定住者割合も高めの府県です。(つづく)
(文責:佐藤慧)
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