外国人の多い地域は日本全国にありますが、増加の原因や居住者の属性などは地域によって大きく異なります。しかし、そういった地域ごとのコンテクストをある程度類型化することはできるのではないでしょうか。
今回は「平成30年住民基本台帳人口」から、外国人人口の多い市区町村トップ20を抜き出し、日本における「外国人の多い地域」を類型化してみたいと思います。
表はこちらからもご覧いただけます。
まずはトップ20の市区町村名と外国人比率を確認します。1位の大阪市生野区以下、北海道から沖縄まで地理的に散らばっていることがわかります。また外国人比率は、約4-15%となっています。
今回は同調査とほぼ同時期に調査された「在留外国人統計」2017年12月末公表分に記載されている国籍別人口のデータおよび石川義孝編『地図で見る日本の外国人 改訂版』(2019)を参照しつつ、この20の市区町村を6類型に分類してみました。
1. オールドカマー型
大阪市生野区と横浜市中区が該当します。古くからの「外国人街」として知られるエリアで、前者はコリアンタウン鶴橋、後者は中華街で有名です。外国人人口に占める国籍比率を見ると、前者では韓国・朝鮮籍が77%と突出して高く、後者でも中国籍が55%を占めています。
2. ニューカマー・大都市型
新宿区、大阪市浪速区、名古屋市中区、豊島区が該当します。これらのエリアは、1990年代以降のニューカマー外国人の増加が顕著だったところです。大都市に位置することから、留学生や会社員などが多いと思われます。国籍では中国と東南アジア系が多いです。
3. ニューカマー・大都市近郊型
我々が拠点を置く芝園団地のある川口市が相当します。「大都市型」と同様中国人が多いですが、これは留学生に加えて、定住するホワイトカラー中国人の多さが効いていると思われます(石川編p20)。
4. ニューカマー・地方都市型
群馬県大泉町、神奈川県愛川町、可児市、伊賀市、美濃加茂市、常総市、岐阜県坂祝町が相当します。これらの地域は工業地帯であり、工場で働くブラジル人ニューカマーの多さが特徴的です。フィリピン人も多いですが、これは技能実習生の受け入れ先が多いことを示していると考えられます。また愛川町で多い「その他」の内訳はペルー人と思われます。
5. ニューカマー・リゾート型
北海道の4自治体と長野県白馬村が相当します。これらはいずれも大規模スキーリゾート施設のあるところで、その従業員や移住者などが多いです。国籍では「その他」が多く、具体的にはタイやオーストラリアなどのようです。
6. 米軍基地型
沖縄県恩納村が相当します。駐留米軍関係者がカウントされているものと思われます。
以上をまとめると、現在日本で「外国人の多い地域」には、
1. 韓中オールドカマーの多い大都市の地域
2. 中国・東南アジア系留学生や会社員の多い大都市の地域
3. 定住中国人の多い大都市近郊地域
4. 日系人・技能実習生の多い地方都市の工業地帯
5. スキーリゾート地
6. 米軍基地周辺
の6類型が見出されることがわかりました。もちろん、これは粗い分析にすぎませんが、日本の「外国人の多い地域」の主要なパターンを抽出できたと思います。
皆さんのお住まいの地域はどれに当てはまるでしょうか?
(文責:佐藤慧)
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