夕暮れ時の芝園団地・たまご広場
1. はじめに
蒸し暑い梅雨に入り、京都での忙しくも単調な毎日からさまよい出たくなった頃、ちょうどインタビューの都合で団地に向かうことができた。ついでに自治会費の集金も行ったのだが、考えさせられることが多かったので、今回の記事ではその体験と考察を記そうと思う。
2. 自治会のシステム
芝園団地では、住民の約2割が自治会に加入しており、年会費は3000円である。会費の納入方法は、自治会の事務局に立ち寄って直接会費を支払うか、棟ごとに割り当てられた集金人が戸別訪問した際に支払うかの二択である。また、会費の支払額は、4ヶ月分で1000円か、1年分で3000円かを選ぶことができる。
ここで、芝園団地自治会について、簡単な説明を挟んでおく必要があるだろう。芝園団地自治会は、団地が出来て間も無い頃に、有志の住民が結成した自治組織である。
設立当初は公団(現在のUR)による家賃値上げ反対運動を主導するなど、住民の声を上部に届ける社会運動を担っており、その性質は現在にも引き継がれている。例えば、今年の春には団地内で閉所した診療所の再開を求める署名運動を行った。
ただし、現在の主な活動内容は、盆踊りをはじめとする住民同士の交流イベントや、防災訓練や市の広報誌の配布といった行政の末端活動である。他にも、自治会は団地内で住民同士の国際交流イベントを開催している学生団体「芝園かけはしプロジェクト」の活動も応援している。しかし、近年は自治会員の減少に伴って予算も減りつつあるので、種々の交流活動を取捨選択する必要に迫られている。
ちなみに、芝園団地自治会への加入は任意である。市営や県営の公営住宅では、住民が共用部の清掃や雑草取りを共同でする必要があるため、自治会への加入が義務付けられている場合がある。しかし、URの管理する団地では、住民の払った共益費をもとに清掃業者が雇われているので、住民に自治会への加入を強制することはできない。こうした経緯もあり、芝園団地では自治会の加入率が低く、とりわけ外国人住民の会員数は極めて少ない。
3. 集金結果
私も自治会費の集金人に割り当てられているので、今回はある棟でまるごと上から下まで自治会員を戸別訪問した。会員が転居した後の部屋に別の住民が住んでいたり、自治会員でない住民の在宅が確認できたりした場合には、自治会への勧誘も実施した。集金の実施状況は次の通りである。
- 訪問戸数: 64軒
- 不在: 45軒
- 転居: 9軒
- 在宅: 10軒 (日本人: 5軒、外国人: 5軒)
- 集金結果: 1軒(1000円)
上記の通り、2時間歩き回って集金できたのは1軒だけで、金額も1000円にとどまった。なぜこれほど集金がうまくいかなかったのだろうか。
(後編へ続く)
(文責:今岡哲哉)
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